ほっとする歌声は、純正アジアンポップス的で、フォークソング経験世代にも懐かしいメロディ。
今月初めにリリースされた「熊木杏里」さんの新譜、「ひとヒナタ」の中で、また、ひときわしっとりと聴かせてくれるのは「こと」
クレジットを見ると、この曲だけ「熊木杏里 Feat. 清塚信也」となっており、「 清塚信也」さんが、ピアノを弾いていて、これがまたいい。
この歌自体がいま公開している映画「天国はまだ遠く」のエンディング・テーマとのことで、クレジット・タイトルが見えてきそう。
そういえば、若いうちはあまり気にしなかったんだけど、今でも時々、試験勉強している夢を見る。
とっくに学校なんか卒業してしまったのに、まだ10代に戻っている。
若い頃、一度だけ、年取った自分の夢を見た。
夢から覚めて、ああ、まだそんな年取ってなくて良かったと思った。
今は、その逆。夢から覚めて、ああ、そんな若くないんだって、哀しいのか、せつないのか、、、、、。
どっちが夢で、どっちが現実?
傷ついて、ぼろぼろになって、田舎に帰ってしまった友達いそやんから、たまに電話が来て、なんだかんだとPCソフトの話なんかする。
よく考えたら、もうバンドやめてから、彼とはいつも電話ばかり。
実際に会うことはないってことは、彼がバーチャルのコンピュータープログラムであったとしても、僕にはわからない。SF的にいってみれば。
泣き出すちょっと前のような声で歌う「熊木杏里」さんの声を聴いていると、何がなんだか、うおーっって、もう、校庭を10周でも走れそうな気がする。
「こと」のなかで、いろんなことを歌っているんだけれど、「急がないこと、いま生きていること」って、ほんと、泣けてくる。
冬晴れの東京の朝は、独特の清々しさがあって、たとえ、窓が水滴で曇るくらいの満員電車でさえ、なんとなく嫌ではなく感じる季節。
早めに家を出て、多摩川沿いを自転車で通勤する時、真っ白く雪化粧をした富士山が見える。
あちらこちらで、クリスマスのイルミネーションが始まり、2008年も終わりに向けて静かに動いている。
きっと、それらの「こと」ぜんぶが、今、生きているってことだね。
2008/11/20
こと
20
11月