ふたり

27 9月

ざわざわと騒がしい夏が終わり心の中が透き通っていくような、秋のすがすがしい気配。

それは、ばたばたと踊り廻るるような忙しい昨日がやっと終わり、また今日も、やらなきゃいけない事、自分の役割、そしてやりたい事までいっぱいつまっている。

そんな毎日の終わりと始まりの間の、ほんの短い瞬間に、ちょっとだけ深呼吸する時、「ああ、秋かも」って感じる位のはかないもの。

たとえば、仕事の合間にFMラジオからオンエアされる歌で、心の奥にしまい込んでいた何かに気づいて、でも、今、動かしている手を止めるわけにはいかないから、、、

そして10分後にはその事さえすっかり忘れてしまう。

きっと、ずっと一緒だよって言い合った二人だけど、いつか別々の道を歩き始めたり、時のもたらす腐敗は物事を想像もできない形に変えてしまう。

そんな時に、「同じ空を見ているから、、、約束忘れないから、、、」という言葉は、あまりにもせつない。秋の夕焼けぐらいに、、、。

「奥村初音」さんのアルバム「ありがとう」の収録曲「ふたり」のワンフレーズ。

今まで発売されたシングルを網羅した渾身のファーストアルバムというだけあって、想いのつまったラインナップが並んでいる。

あなたは、今、誰と「ふたり」ですか?

僕は、嫁さんと15才になった息子と「ふたり」(ほんとは3人かな)です。

だから、恋とか愛とかからはもう卒業してしまった世代なんだけど、この歌からは、嫉妬にも似た圧倒的なせつなさを感じてしまうのは何故だろう?

もう一度恋をしてみたいなんて事は言いません。

ただ、一途に恋をしている貴方を見ていると、ああ、自分が何か手助けしてあげられる、シティ・オブ・エンジェルに出てくるような天使だったらなんて考えてみたり、、、。

そんな事考えていると、秋の冷たさか、鼻の奥の方がつんとしてしまう。

2008/09/27