駒沢大学前の駅の出口のある246号線の交差点から、弦巻のほうへ曲がってすぐの所にその店はあった。
時間は夜の10時を少し廻った頃で、こんな時間でも開いていた事に少し驚きを感じながら、僕は自転車を店の前の歩道に止めて店内に入る。
「母の日の花がほしいんですけど?」
「赤いカーネーションですね」
ちょっとカントリー調のデザインの店内に合った、セピア色のロングスカートとエプロン姿の女の子が聞いた。
「はい、お願いします。なんか適当に花瓶に挿すやつを、、、」
どう頼んだらいいんだろう?正直いってよくわからない。
彼女は沢山の花が並べられている台の前に行くと、最初に一輪の真っ赤なカーネーションを手に取った。
それに会わせるように薄いピンクのカーネーションを一輪加え、同じ薄いピンクで、もう少し小振りな花を3つ付けているものを加えて、全部の丈を調整し、スプレーで水を吹きかけてから根元をハサミで切り落とした。
まるで映画のシーンをみているような、流れるようなその様子を僕はじっと見つめていた。
彼女はその花束を綺麗なラッピングの袋に入れて、仕上げに小さくて真っ赤なリボンをかけてくれた。
「350円と350円と、、、だから、XX円になります」
そう言いながら花束を渡してくれた。
「ありがとう」
と僕は言って、お金を払った。
明日は母の日。
結局、これといって何も思いつかなかった僕は、嫁さんにせめて花だけでも買おうかと思って店に入ったのだが、花屋さんの女の子は本当に丁寧に花をつつんでくれた。
なんとなく、僕の気持ちも一緒に入れてくれたように思ったのは、気のせいだろうか?
今年の母の日は、花屋の妖精に出会えて、贈られるほうより、贈る方がちょっぴり嬉しいカーネーションの花束でした。
ブログを書きながら聴いた曲はFLOWERつながりで、「原田知世」さんの「シンシア」
原田知世さんと大沢たかおさんのドラマ「デッサン」の主題歌です。
(南沙織さんではないです。)
2007/05/15
シンシア
15
5月