青春と路地

10 5月

ゴールデンウィークあけの5月8日、アミューズメント関係の仕事で、奈良県のタマノイ酢奈良工場へ。

見学施設のひとつに「いずみちゃんロボット」という展示があり、演出の一部、映像部分とそのナレーションのリニューアルのためである。

久しぶりに始発の「のぞみ1号」に乗って京都駅へ。

そこで近鉄線に乗り換えて天理行きの急行に乗車。

近鉄電車は、丹波橋駅を過ぎて、観月橋そばの鉄橋を渡ると、あとは、ちょっとだけ鄙びた田園地帯が、どこまでも続いている。

朝の通勤通学時間のためか、沢山の人が乗っては降りてゆく。

普段乗っている東急田園都市線や、東横線で見る人たちと、どこか違うファッション、イントネーションで、ああ、やっぱり関西に来たんだなって思ってしまう。

車窓から見える生駒山の反対側、枚方市に住んでいたのは、もう何年前だろう?

アルバイトのため、バスで良く新田辺あたりまで来ていたっけ。

ほろ苦い思い出にひたりながら、BGMで聴く音楽は「阿部芙蓉美」さんの「青春と路地」。

この歌は、最初に出てくるギターのリフと、そのバックでポロン、ポロンと鳴るピアノの音だけで、もう泣けてしまう。

初めて聴くような、良く聴き慣れたような、時にささやくような、ノスタルジックな歌声。

サビのリフレイン、『たかが青春、消えてなくなれ』という切なく高いメロディ。

それは、過ぎ去ってしまった日々を物語るように、哀愁に満ちて泣ける。

70年代フレーバー漂う曲。

そういえば、このあたりで青春を過ごしたのは70年代最後から80年代前半だったね。

エンディングの終わりかたも、デビッド・ゲイツ&ブレッドという感じの、アコースティック・ギターとストリングスで優しく終わる。

西大寺を過ぎる頃には、込み合っていた車内も、空席がまばらにある位まですいてくる。

僕は今、あの頃願っていた大人になれているのだろうが?

『答えはない、無数の星が流れて砕けて眩しいだけさ、、、』

BGMが流れる中、電車はまもなく平端の駅に到着した。

2008/05/10