多摩川沿いのブックオフで中古CDや、リーバイスのジーンズで履けるサイズの出物が無いか確かめている時、その曲が店内に流れた。
何年に一度か、突然出会う歌に驚いて動けなくなることがある。
歌詞と、ボーカルの声、(大抵は女性ボーカル)決定的にコード進行、アレンジ等が、見事に自分の目指す方向と同じで、素晴らしい楽曲。
その昔、レコード店で流れている楽曲は、店内のレコード再生コーナーまで行けば、LPレコードのジャケットが立てかけてあり、そうして出会ったのが、ジョー・サンプルの「虹の楽園/Rainbow Seeker」だったりした。
現在のブックオフで流れる音楽はチェーン店共通の独自の編集番組なんだろう。曲が流れても、多分曲名のアナウンスは無いのでは無いか?
僕は流れてくる歌詞のいくつかのフレーズを必死で憶える。何個かフレーズがあれば、ネットで検索できるはず。
「明日は明日の風が吹く」と、「くるくる回る万華鏡」という2個のフレーズ。
検索してみると、赤い公園の「pray」という楽曲だった。
そういえば昨年(2020年)後半に、赤い公園のメンバーが急逝したというニュースを聞いた覚えがある。
名前は知っていたが、発表した楽曲を全く聴いたことがなかった。
家のTV番組を撮りためた中に「時をかけるバンド」が未再生で残してあった。(最近はオンエア番組を録画だけして、見ずに消去することが多くなった)
その歌は、音量的では無いさらっとした、でも芯のあるボーカルが個性的な歌詞で歌い上げる、完璧な世界の中の一つの断片として存在するサウンドに乗せて、僕をとてもワクワク、そして、切ない気持ちにさせた。
もう恋なんてしないと思っていた。
遠く過ぎ去ってしまったものだと思っていた感情の流れに、再び襲われてしまった。
人生も下り坂をゆっくり歩く年齢となり、それなりに色々経験を積み、それでも何かに心が震えるって、悪く無いことだね。
時間を見つけて「時をかけるバンド」の録画を見よう。
pray
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3月