ちょっと学校の教科書のような歌詞だけど、メロディに乗せてさらっと聴かせるところが厭味じゃないかも。
Soweluさんの「wish」はそんな応援歌的な1曲。
3月は始まりの時、別れの時、旅立ちの時、そんな人も多いと思う。
「to You」、「幸せのちから」なんかの系譜で、サビ部分のストリングス・アレンジがsoweluさんの曲らしい。
季節は春に向かってゆっくりだけど、確実に進んでいっているといった感じかな?
日中の暖かさに油断して薄着で外出して、夕方になってやっぱり寒かったんだなって事になる。
人生でほんとに一度だけ、ああ、春って来るんだと感じた事があった。
あれは、20代後半頃、ある年の冬に恋も仕事も何もかも失って、アパートでひっそりとしていた時期があった。
引きこもりというわけではないんだけど、何かすればお腹がすくし、お金もかかるので、部屋で本を読んだりビデオを見たりして過ごした。
アパートの1階が大家さんが経営する喫茶店になっていて、電話をとりついでくれたので、かかってくるはずのない人からの電話をじっと待っている毎日だった。
夕暮れ時になって人恋しくなれば、近所の古本屋さんに行き、当時そこでアルバイトしていた友人と1時間くらいああだこうだと話をした。
鷲尾いさ子さんが、雪の降る中で暖かそうに缶コーヒーを抱いている、UCCコーヒーのテレビCMがオンエアされていた。
その銘柄の缶コーヒーを2本買って、古本屋さんで友人と飲みながら、村上春樹の小説の話なんかをした。
そんな日々を過ごして、春先に、ああ、これはちょっとだめだなと、社会復帰をしたんだけれど、その時に、ああ、なんて世界は美しいんだろうと初めて気づいた。
あれ以来、何度も春は巡ってくるけれども、それなりに、ああ、春だな、綺麗だな位は感じるんだけれど、あの時の痛いほどの心の震えは二度とは味わう事ができない。
それでも、一度でも、そんな復活の時を体験出来た事は、あれから後の人生を生きていく上でとってもパワーになってくれたと思う。
それと、そんなふうに落ち込んでいた時期、何度も、歌や音楽によって救われたっていうか、元気をもらった事を覚えている。
誰かにとって、Soweluさんの「wish」がそんな歌になれば、きっと素敵な事だね。
2008/03/08
Wish
8
3月