恋人たちのララバイ

27 1月

大学も卒業間近だった頃、何故か海が見たくなり、天王寺駅から電車に乗って白浜あたりに行った。

今では、何という駅で降りたかとか、海岸までどうやって行ったかという事は、
全て忘れてしまった。

ただひとつ憶えている事は、その時持って行ったSONYのカセットウォークマンが帰りの電車の中で突然動かなくなってしまった事。

そのウォークマンは大学生時代を通して色々な場所で音楽を聴いていたものだった。

今考えると、修理に出せばよかったんだけど、何故か、自分の中で何かが終わろうとしているという感じがして、修理には出さなかった。

最後に聴いていたカセットテープがアレッシーのアルバム「そよ風にくちづけ」だった。

日が暮れて帰りの電車の中、窓の外を通り過ぎる民家の灯りと、ガラスに反射した頼りなさそうな21才の自分の姿。

そして、ウォークマンは壊れてしまったんだけど、想い出の中では、アレッシーの歌う「恋人たちのララバイ」のサビのリフレインが繰り返し聴こえている。

「僕に貴方の明日を下さい、貴方のやさしさが必要なんです」

という意味の歌詞。

1980年代のAORにふさわしいこのアルバムは、クリストファー・クロス、マイケル・オースティン、そしてクインシー・ジョーンズのプロデュース、ラリー・カールトン、ロビー・ブギャナンを初め、ジェフ・ポカロ、スティーブ・ルカサーらTOTOのサポートで、ホーンセクションはジェリー・ヘイ、トム・スコットといった、80’sフレーバーたっぷり。

ちなみに、同じ頃に聴いていた邦盤といえば、オフコースの「スリーアンドトゥー」だったと思う。

あれから長い長い時が流れたけれど、「恋人たちのララバイ」のメロディーは今でも心に切ない。

あの21才だった頃、自分が48才になる事なんで想像もできなかった。

そして、48才になっても21才の時に聴いた曲にまだ心が痛くなるなんて、、、

2007/01/27