Take Me Home Country Roads

1 8月

会社のオフィスでペーパーワークをしていた。

うちの会社は音楽コンテンツの制作がメインなので、それぞれ個人ごとに、パーテーションで仕切られた机で、着メロ、着うた、着ムービー等を制作している。

一日中、携帯着メロの音や、着うたの音が鳴っているので、オフィスにBGMは無い。

昔働いていた企画関係の会社ではFMのJ-WAVEが、狛江の工場の作業場では、TOKYO-FMが流れていた。

僕はこの会社で、着メロ等と同じMIDIという音楽データを使ってからくり時計の音と動きをコントロールするという仕事をしている。

今日は、この秋、汐留の日本テレビの社屋に設置される、宮崎駿デザインの「日テレ大時計」の14chマルチ音響とMIDIコントロールシステム関係の書類を何枚か作成する予定。

その関係で、7月29日の土曜日は、封切り初日の「ゲド戦記」を観てきた。

ジブリらしい映画で、やっぱり、音楽は美しく壮大でなくちゃと改めて教えられた。

オフィスでBGMが聴きたいから、僕はFMチューナー付の携帯電話を持っている。

それにヘッドホンを繋いで、J-WAVEを聴きながら作業を始めた。

ちょうど富士ロックフェスティバルがおこなわれている会場から中継で、南美布さんが「HOLA! DOMINGO」を放送していた。

フェスティバルに出場する小野リサさんの曲がプレイされた。

「Take Me Home Country Roads」

いままで聴いたことが無い、とてもやさしく、そして切ないアレンジ。

まるで母の子守唄を聴いているようななつかしさを感じる。

ジョン・デンバーやオリビア・ニュートン・ジョンの歌は知っているけれど、小野リサさんは全く違うアプローチをしている。

目の前でギターを弾きながら語りかけるように歌う歌声を聴いていると、胸の奥のどこかわからない所が、とても痛くなる。

コード進行もAOR系のとても繊細な色づけをしていて、及川Georgeくんのピアノを思い出してしまった。

ウエスト・バージニアもシェナンドー川も行ったことは無いけれど、仙台平野に真っ直ぐ続く東北自動車道がなんとなく目に浮かぶ。

そういえば、車で故郷に帰ったのは何年前だっけ?

ああ、今年の夏は帰省できそうにない、、、。

Take Me Home Country Roads

僕はヘッドホンを外し、心の中で幾度となくリプレイされる歌声を聴きながら、日曜日のオフィスで仕事を続けた。

2006/08/01